コロナ拡大後に9月の薄毛相談件数が急増？　自粛疲れの抜け毛対策とは？

「コロナ抜け毛」といわれる症状があることをご存じでしょうか。
これは、新型コロナウイルスに感染したために発症した抜け毛のことではなく、コロナ感染拡大に伴い生活に様々な変化が起きたことをきっかけに抜け毛が増えた状態をいいます。
頭髪医療を提供するあるクリニックでは、コロナ拡大後の9月に、それまでの7月に比べて薄毛・抜け毛相談件数が168%にまで上ったという報告がされています。
その中には薄毛や抜け毛に悩んだことがない20代の方も含まれており、主なお悩みにコロナ禍でのストレスや生活習慣の変化を挙げた方が多かったということです。
そこで今回は、抜け毛が多くなる9月を前にして、あらためてコロナ抜け毛の原因を探り、その対策方法についてご紹介したいと思います。

 

時間をかけて現れるのが、コロナ抜け毛

コロナ抜け毛とは、新型コロナ感染拡大に伴った自粛やテレワークなどで今までの生活が変化したことで抜け毛が増えた状態を指します。
新型コロナウイルスに感染したかどうかは関係なく、様々な環境の変化によるストレスが原因で、抜け毛が進行してしまったというもの。
在宅期間が長くなったための運動不足や夜更かし、偏食など生活習慣が乱れたことも原因として考えられています。
しかしながら、このような抜け毛はすぐに起こるわけではありません。時間をかけて髪に影響が及んで、抜け毛がゆっくり増えていきます。
現在は行動規制が緩和され以前の生活が戻りつつありますが、コロナ禍での生活が原因とされる抜け毛が最近になって現れている方も中にはいらっしゃるようです。

 

コロナ抜け毛の原因は何？

新型コロナ感染による自粛、ストレス、疲れなどが抜け毛や薄毛の要因になってきますが、それはなぜなのか次に詳しくご説明します。

不安や睡眠不足でホルモンバランスが乱れる

コロナに対する不安感からよく眠れなくなったという方もいらっしゃいますが、睡眠不足が続くとホルモンバランスに乱れが生じてきます。
それによって頭皮の皮脂が過剰に分泌され、そこに雑菌が増殖すると炎症が起きて抜け毛が増えるという場合があります。
また眠りが十分でないと、成長ホルモンが不足して髪の成長を妨げてしまう原因になります。そうして結果的に抜け毛のリスクが増加します。
また、睡眠不足自体がストレスにつながることがあり、それも抜け毛につながっていきます。

 

偏食による栄養不足

健康な髪の成長のためには、アミノ酸やミネラル、ビタミン類などの栄養素が十分に必要になります。
しかし、テレワークや外出規制などで家の中で過ごす時間が増えると、なんとなくダラダラして毎日のようにインスタント食品や近くのコンビニで買ったお弁当やレトルトなどで済ましたという場合もあるでしょう。
そういう状況のもと、十分に栄養を摂れていなかったことも予想されます。
またコロナに対する不安感から食欲不振に陥り、栄養不足になったケースもあり、こういった様々なことが抜け毛の要因になってきます。

 

運動不足で血流が低下した

コロナ自粛期間は外出も減り、テレワークへの移行で運動量が減ったという方も多いのではないでしょうか。
自宅から駅までの徒歩10分、降車した駅から職場までの徒歩5分といった、例えば往復30分歩いていたのがなくなったとすると、それだけ運動不足になります。
またスーパーに行くことを避けてネットスーパーを利用したり、通販で生活用品を購入したりしたことも運動量の減少につながっているはずです。
運動する機会が減るとそれに伴い筋肉量が減りますから、代謝や血流が悪化することが懸念されます。
頭皮への血流も低下していき発毛細胞に栄養が十分届きにくくなっていたことも、抜け毛の原因になっていると考えられます。

 

神経過敏からのストレス

コロナウイルスに対する不安や、周りに感染者が出たなどで日常的に強い警戒心を覚えたりしていた方も、コロナ抜け毛の心配があるかもしれません。
ストレスが強まることで、副交感神経と交感神経のバランスで成り立っている自律神経が崩れます。
ストレスが溜まってくると交感神経が優位になり、この状態は血管を収縮させますから頭皮への血流も滞り、発毛組織へ栄養が届かなくなってしまいます。
また、交感神経が高まると寝付きが悪くなり睡眠不足になり、さらにストレスへの耐性が弱まってしまいます。
 

ご自身でコロナ抜け毛の可能性を診断！

では、そのような抜け毛に自分もなりうるのか、コロナ渦での生活を振り返ってみましょう。下記の事柄を確認してみて、当てはまる項目が多い方ほどコロナ抜け毛のリスクが高まっていると考えられます。
 

【チェック項目リスト】
■慣れないテレワークで肩コリや頭痛に悩まされた
■長い自粛生活に対してストレスを感じていた
■コロナに感染するか不安が強かった
■コロナ禍では運動をほとんどしなかった
■ストレスから飲酒や喫煙が増えた
■コンビニ食やケータリングに偏っていた
■会食や趣味の集まりなどが激減した
■常に疲れが溜まっていた

 

こういった生活や精神的なことに心当たりがあって、さらに少しでも抜け毛が気になるのであればコロナ抜け毛を疑っても良いといえるかもしれません。
一方で、コロナに感染した方が後遺症として発症する抜け毛もあります。
詳しいメカニズムは解明されていませんが、一般的に病気にかかると免疫力が低下し、炎症反応が起こって髪の毛に栄養が届きにくくなります。
また病気になったショックからの抜け毛の進行も考えられます。

 

コロナ抜け毛の対処法はどうしたらいい？

はじめに、コロナ禍で変化のあった生活習慣を以前のように戻すことが大切です。
理想は、以前の生活習慣よりさらに心と体に健康的なものになるような改善を加えること。
積極的な運動習慣や入浴習慣を取り入れ、メリハリのある生活を心がけるようにしましょう。

 

コロナ抜け毛対策におすすめの生活習慣

 

1 タンパク質をたっぷり摂る

すぐに取り組めることとして、食生活の改善があります。
栄養バランスの乱れから抜け毛につながるケースは多いため、髪に良いとされる良質なタンパク質を十分に摂ることを心掛けましょう。
おすすめは魚介類、豆類、脂肪分の少ない肉類、鶏のささみ、むね肉や豚や牛の赤身など。
さらに海藻類、野菜類、ナッツ類、キノコ類、いも類などを意識することで、タンパク質やビタミン、ミネラル、炭水化物などの吸収がアップします。
ひじきが髪の毛に良い、と聞いたことがあるかもしれませんが、それだけ食べれば良いのではなく、髪の毛を構成するタンパク質と一緒に、しっかり取るのが大切です。
忙しくて買い物に行けない場合も、ネットスーパーや宅配サービスを利用したり、冷凍の魚肉や野菜などを利用したりして、できるだけ自炊をする時間を取りましょう。

 

２　6時間睡眠と運動

コロナ禍における生活で朝寝早起きのリズムが崩れてしまった方や、家にこもりきりだった方も多いようですが、睡眠不足や運動不足は抜け毛の原因になってしまいます。
髪の健康のためには、規則正しい生活を送ることがとても大切です。
22時～2時頃、熟睡している際に分泌される成長ホルモンによって髪は成長します。
それが夜更かしの習慣がつき睡眠時間が遅くなっていたとしたら、髪の成長を妨げていた可能性があります。
夜10時頃には布団に入り、6時間以上の十分な睡眠をとること。そして朝は早く起きるようにしましょう。
また、歩くという動きは血流を改善して髪の健康に良いため、ぜひウォーキングやランニングなど軽い運動を始めることをおすすめします。

 

３　睡眠の質を高めることに努力する

コロナ抜け毛を防ぐには、睡眠時間を確保するだけではなく、質を高めることも必要です。睡眠の質が高いと、眠りの浅いレム睡眠と深いノンレム睡眠を繰り返しながら、成長ホルモンが十分に分泌されます。
睡眠の質を高めるには、寝る30分前から強い光刺激を避けて過ごすこと。寝る前にスマホやテレビ、パソコンの画面を見ることは避けましょう。
また、就寝の3時間前までには食事をして胃腸を落ち着かるようにし、入浴は寝る2時間前にすれば、ちょうど寝る頃に体温が下がって眠気が起こります。

 

４　ストレス発散できる趣味を見つける

その日のストレスは、その日のうちに解消することを目指してみましょう。
疲労感や精神的な疲れを感じているのに我慢して溜めていると、発散するにも時間がかかります。
楽しいと純粋に感じるスポーツ、ドライブ、音楽や映画鑑賞など、グループでも一人でも自由にできて気分を発散できる趣味を持ってみましょう。
趣味が見つからないという方も、好きなドラマを見たり、テレビゲームを楽しんだりするだけでもストレスが和らぎます。

 

５　自転車や歩きを取り入れ、運動量を増やす

室内で行えるトレーニングマシンやグッズなどでも良いのですが、できれば屋外に出て、太陽を浴び新鮮な空気を吸いながらできるジョギングやウォーキングがおすすめです。
手軽に有酸素運動ができますし、適度な筋力アップにも良いでしょう。
そのほか、外出する際に自転車や歩きで出かけてみることもおすすめです。普段から車移動が癖になっている方は、徒歩や自転車を使うだけでもある程度のカロリーを消費できます。

 

コロナ後遺症による抜け毛の心配について

新型コロナウイルス感染症による後遺症としても、脱毛症状が確認されています。
通常の脱毛症とは異なり、若年層や女性に多い傾向があるといわれ、原因は研究が進められていますが、遺伝子や環境的要因が作用して生じると考えられています。
コロナ発症後2ヶ月ほどして抜け毛を訴える方が多く、6ヶ月たてば徐々に改善していくようです。
そんなコロナ後遺症としての抜け毛は、まず病院やクリニックで病気の治療に専念し、体の状態をもとに戻すことが大切です。気になる場合は、クリニックの医師に一度相談することをおすすめします。

 

まとめ

コロナ抜け毛は、自粛生活による生活環境の変化に対応したストレスや、コロナウイルスに対する不安感が原因で起こってきます。
これから秋を迎え、一段と抜け毛が進むことが考えられますので、今までよりも運動不足や睡眠不足、栄養不足などを解消するべく、生活習慣も抜け毛対策中心に整えていくことが大切です。
ただ、日頃から規則正しい生活をし、食事のバランスも良い方はあまり過度に不安になる必要はありませんが、原因も分からずコロナの影響もないと思っている方で抜け毛が急に増えたと感じたら早めにクリニックを受診しましょう。